持てる者(物)に頼る
「持たざる能力」を他に求めるとは、具体的にどういうことなのであろうか?
まず、一つ目に考えられることは、「持てる者(物)」に自らのサポートをさせることである。だが、世の中、そううまく事は運ばない。余裕人員を大量に抱える会社でなければ、「持てる者」がそう簡単にみつかるわけがない。ましてや、タイミング良くサポートしてくれようになるとは考えられない。現代のようにグローバルな環境で競争を強いられる状態では、余剰人員など抱えている余裕のある企業など皆無と言って良い。だとすれば他の手を考えなければならなくなる。
不明点をなくす
二つ目に考えられることは、「持たざる者」になってしまう根本原因を取り除いてしまうことである。不明点をクリアにしてしまうのだ。不明点をクリアにするためにはいったいどのようにすれば良いのだろうか?
「持たざる能力」を手に入れるためには相当な時間と努力を要することはすでに述べた。ここでは、「持たざる能力」を手に入れる以外の方法で実現する手段を考える。その方法とは、ある前提条件をつけて、受容してしまうことである。
前提条件を付けて、「不明点」を「不明点」では無くしてしまうのだ。前提条件付ではあるが、「不明点」であることを無くしてさえしまえば、そこにはもはや「自信のない計画」は存在しなくなる。立派な「自信のある計画」に変貌を遂げる。そして、ここで定めた「リスク付前提条件」の楽観的予想値と悲観的予想値の差(幅)がリスクとして認識される。実際にたてる計画では、具体的にこの「幅(リスク)」を「バッファー」として定義する。これで、初期の「自信のある計画作成」はいったん完了を迎える。自己不信や戸惑いを克服することが出来たはずだ。
不明点の華麗なる変貌
しかし、どんな素晴らしい「前提条件」をつけたとしても、さすがに「不明点」はいつまでたっても「不明点」には違いがない。とすれば、プロジェクトが進むにつれて、その「不明点」は次第にその正体を現してくる。時には突発的に華麗なる変貌を遂げてくれる。「不明点」の形が変化してくるのだ。更に、その変化に従って、「前提条件」も一緒に変化してくる。これも「状況の変化」の一類型にあたる。
プロジェクトを成功に導くためには、「リスク付前提条件」として定義された「他に求めた物」を常に自分の制御下において監視し、この「状況の変化」を逐一見逃さずに、冷静にコントロールしていく必要がある。しかし、なかなか上手にはコントロールさせてはくれない。なぜなら、この華麗なる変貌を遂げた「不明点」は、内にあるのではなく、常に外から発生したものだからだ。