いつも通り、夜明け前の五時前に目が覚めた。
洗濯物は結局、朝までに乾ききらず、生乾きのまま車内へ取り込む。荷物の上に、どう置けば正解なのかわからぬまま、なんとなく広げた。まあ、旅とはそういうものだ。朝食は抜き。7時21分、ホテルを後にする。
会津若松を発ち、日光へ通じる国道121号を南会津方面へ。道はゆるやかに山へ入り、景色は徐々に人のものから獣のものに切り替わっていく。
8時54分、道の駅たじまに立ち寄り、トイレ休憩。土産に、食材に塗って食べるタイプのいぶりがっこチーズを四つ。土地の匂いは、こうして持ち帰るのがいちばん確実だ。9時2分、再び走り出す。
しばらく走ると、山道のど真ん中に、日本猿の群れがいた。
こちらを見るでもなく、道を占領している。クラクションを鳴らすこともできず、ただ減速すると、彼らは面倒そうに山側へ移動していった。北海道では決して出会わない野生の猿。車を停めて写真に収めたい衝動はあったが、襲われてはかなわない。見るだけで、十分だった。
10時23分、日光東照宮の駐車場に無事到着。
朝食を抜いていたせいで腹が静かに主張している。ネットで調べておいた「マンテンチキングリル ニッコー」で、少し遅い朝食を取ることにした。マンテンチキンライス。香ばしく炙られた骨なしチキンが、堂々とライスの上に居座っている。醤油と糀を使った秘伝のタレだという。実直で、文句のない味だった。
腹が落ち着いたところで、西参道の良い縁坂を登る。
二荒山神社の案内が見えたところで左に折れ、輪王寺へ向かう。常行堂で御朱印帳を購入し、この旅、最初の御朱印をいただく。通常の手書きのものと、印刷の記念御朱印も一緒に受け取った。
昨日、会社のグループウェアに何のコメントも付けずに投稿した一枚の城影を、「鶴ヶ城」と言い当てた仲間へ、その記念に、御朱印を土産とする。
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慈眼堂、法華堂をゆっくりと眺めながら進み、大猷院霊廟の入口、仁王門へ。
右には口を開いた阿形の密迹金剛力士、左には口を結んだ吽形の那羅延金剛力士。門をくぐろうとするこちらを、じっと見据えている。その眼差しには、通すか通さぬかを量る静かな力があった。
承応二年、すなわち一六五三年の建立というから驚く。透かし彫りが施された輪王寺の建物は、そのほとんどが朱と黒を基調とし、権威と重厚さを惜しげもなく前面に押し出していた。