/活動日誌/閑話/16Day's 16Day's 3章の② 大猷院 2025-11-03 ( 初回配信 2025-10-25 ) facebook tweet LINE はてブ Pocket 徳川家光の御廟所である大猷院、登っても登ってもまた門が出てくるので、どこまで登ったら終わりが来るのかが分からないまま、ただただ登っていく。二天門を通る。持国天、長く広目天と勘違いされていた増長天を祀り、門の背後には風神、雷神が構える。 次は夜叉門。毘陀羅(びだら)、阿跋摩羅(あばつまら)、犍陀羅(けんだら)、烏摩勒伽(うまろきゃ)、烏摩勒伽が手に持つ金の矢がいわゆる「破魔矢」だという。柱の彫刻には見事な獅子が描かれ、絢爛豪華である。 そして唐門。目貫の白龍と呼ばれるものとつがいの丹頂鶴の彫刻が美しい。右の柱には昇竜、左の柱には降竜が描かれている。 拝殿へ渡る。権現造りの国宝の本殿、別名金閣殿が相の間(将軍着座の間)の奥に見える。拝殿に入ると正面左右の壁面には唐獅子(狛犬)が描かれ、天井には狩野探幽作の140もの昇り龍と降り龍画が、そして天井中央には家光の養女で前田光高に嫁いだ清泰院から献上された金色の天蓋が吊られている。実際に使っていたといわれる家光の鎧もあった。絢爛豪華でかつ厳かな雰囲気だ。 簡単な説明があるというので、天蓋の真下に座って他の観光客20数名と一緒にじっと話を聞く。5分ほど説明を聞いていると、破魔矢の話になった。 「皆さんは破魔矢の正式な飾り方を御存じですか? 」ん?確かに知らないなと耳を傾ける。 「破魔矢は家のどこに置かれてもよろしいのですが、一夜地高い位置で、羽の方を下にして屋の方を上に向けて飾ってください。何か特別な事がある場合は矢を玄関の方に向けて飾ってください」なるほど、そうだったのか。ひとつ勉強になったなと思ったところ、まだまだ破魔矢の話は続いた。 「皆さんは、毎年毎年新しい破魔矢をご購入になりますよね?この私が手に持っている龍神破魔矢は昇り龍が彫られており、輪王寺大猷院の御神前にて永代供養されたもので毎年買い替えなくても良い一生ものの破魔矢です。そして、これがなんと3000円、矢立もありますので、ぜひこの機会に手に入れてみてください。」 なんと、こちらの大猷院は商魂も逞しかった。話を聞き終わったあと、初老の御夫婦が3組ほどが、この破魔矢を購入するのに並んでいた。 この先には皇嘉門、これ以上先へは進めないが、この先には家光公の墓所があった。灯篭もひとつたりとも同じ形がないのではないかと、少なくとも僕には同じ灯篭は見つけられなかった。 随分登って来たねぇと、連れ合いと話しながら来た道を下る。下る気色も美しく来てよかったなぁとしみじみ感じたが、この後、大猷院の登りはまだまだ序の口であったことを思い知らされるのだ。