米議会での、ウクライナ大統領のゼレンスキー氏が「真珠湾を思い出してほしい。1941年12月7日の朝、米国の空は戦闘機で黒くなった」と語ったことが日本人の一部から批判が出ているようだ。日本の国会で演説したいという依頼も拒否するべきだという強硬的な意見も出ているようだ。
間違った認識であることはゼンレンスキー氏にも正しておいた方が良い。だが一度良く考えてみてほしい。9.11の時、アメリカも真珠湾攻撃を引き合いに出していた。これが世界の大多数の者の意見であることを日本人は認識しなければならない。「第二次世界大戦で日本は悪いことをした。とても極悪非道なふるまいをした」これが、世界に通用している真実なのだ。
日本人は、「余計なことは話さない」ということを昔から美徳と考えてきた。長年連れ添ってきた連れ合いにだって、「言わなくてもわかるだろう。男はいちいち口に出さないものだ! 」と。その結果が熟年離婚に繋がっているというのに男はいつになっても気付かない。「俺が何をしたって言うんだ! 」。そういう意味では確かに何もしていない、何もしてこなかったことこそが問題なのだ。
ロシアでは、ウクライナ侵攻の失敗は正しくプーチンに伝わっていないという。嘘か真実かはわからないが、実際に作戦を遂行している者の報告には、どんな時でも多かれ少なかれ脚色が雑じる。完全に正確な情報と言うのは世の中には存在しないのかもしれない。いずれにしても、真実すらまともに声に出せないなんて、世界を長い間に渡って引っ張ってきた男たちの何と臆病な事か? 呆れかえって開いた口が塞がらないとは正にこのことだ。
今こそ諸外国に、あの「先の大戦」の事を声を大にして伝えるべき時なのではないだろうか。そして、今でも負い目を感じ、日本が悪かったと強く信じている日本国民にもありのままを誠実に伝えるべきではないだろうか。
ゼレンスキー氏は日本の国会での演説で、ロシアからの一方的な戦争行為に、「国際機関は機能しなかった」と述べた。国連も安全保障理事会でさえも機能しなかったと。国連に至っては第二次世界大戦後の枠組みの中で、中国とロシアが常任理事国となっており、一国でも反対であればどんな取り決めも否決されてしまう。そんな不条理な国際機関を見直すべき時期に来たのかもしれない。いまだに「敵国条項」などという下らない条項を持つ国連が機能しないのは当然の事なのだろう。
ゼレンスキー氏が悪いわけではない。世界に発信してこなかった日本人が悪いのだ。連れ合いにも、世界にも言葉を尽くしていく時がやってきた。