4月8日、3時56分。
あたりには、まだ光の筋すら見えない。勝手のわからぬ青森の町を、小雨の中で走る。路面は濡れ、標識もぼんやりとして、どこをどう進めばよいのか、正直なところ心許ない。
まずは腹ごしらえだ。
セブン‐イレブン青森新田。おにぎりをひとつ頬張る。連れ合いはというと、いつものようにじゃがりこの棚の前で足を止め、見たことのない種類を探している。青森限定でもないか、とでも考えているのだろう。どこへ行っても、どんな時間でも、コンビニに入れば必ずこれをやる。もはや習性の域だ。
エンジンをかけ、気合をほんの少しだけ入れる。
あの長距離トラックについていけば、青森インターまで辿り着けるはずだ。案の定、しばらく走ると道は大きく右へ折れる。そのまま直進すると、高速道路の標識が現れた。右へ曲がれば三内丸山遺跡の方角だろう。だが今回は通過するだけだ。時間が時間だし、そもそも開いてすらいないに違いない。
青森インター着。
ゲートを抜け、一気に高速で南へ向かう。あとで知ったことだが、ここへ来るまでの道沿いに「札幌館」というラーメン屋があったらしい。青森なのに札幌館。調べてみると、味噌カレー牛乳ラーメンが地元のソウルフードだという。次に来る理由が、そっとひとつ増えた。
車は秋田県に入り、05:16、花輪SAを通過。
5時を過ぎたころ、夜はようやく白み始める。知らない薄暗い道を走り続けるのは、じわりと疲れが残る。それでも、明るくなるにつれ、視界は開け、気持ちも軽くなる。これから始まる旅程への期待が、疲労を押し返してくれた。
やがて、岩手山が姿を見せる。
頭を雲で隠しながらも、その存在感は圧倒的だった。広い景色の中央に、迷いなく立っている。05:58、岩手山が見えるパーキングで車を止める。こんなに早い時間なのに、食事ができるとは思わなかった。二人で舞茸のかき揚げそばをすすり、身体を温める。
06:10、岩手山SAを出発。
盛岡、花巻、北上、奥州、一関。地名がテンポよく過ぎていく。やがて宮城、07:43、長者原SAでトイレ休憩。08:11、福島県へ入る。
09:15、目当てのひとつだった国見SAに到着。
蛇口を捻るとももジュースが出る――はずだったが、下りでは飲めず、わさびアイスも売り切れ。少々肩透かしだが、旅とはこんなものだ。帰りに寄ればいい、ということで話はまとまる。
09:26、国見SAを出発。
10:49、会津若松インターで高速を降りる。
11:02、会津鶴ヶ城着。
ようやく、目的地に辿り着いた。
夜の底を走り抜けてきた時間が、ここでようやく一息ついた。